プロローグ アイツとオレの初めての出会い。

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オヤジは今、海外で四輪関係の仕事をしている。最後に会ったのは母さんの葬式の後の数日間だな。当初一緒に海外に行くはずだったが、オヤジの「日本で育ってほしい」という願いの下、実家を貸家にしてその収入でオレが住んでるボロアパートの家賃を払ってる訳だ。すなわち、今一人暮らしってなワケ。 ………スマン。ちょっと過去を振りかえるつもりが大分ヘビィな話になってしまった。 まあ、これでわかっただろうが、俺は今一人暮らしだ。孤独だ。なんか悲しくなるな。 彼女?う~ん、実は異性関係でちょっとしたトラウマがあって女を完全に信用できないんだな。 あ、水谷……怜奈は別。それなりに信用できるからな。天然素材100%だけど。 おっと、電車が着いたようだ。 まだ帰宅ラッシュアワーじゃないから人混みは少ない。 駅を早足で後にし、一目散にオレの城(ボロアパート)に向かう。 ガチャガチャ……ガチャン。 さすがボロアパート。鍵を3回まわし直さないと開かない。見方を変えればNice防犯設備だが強い衝撃与えると開いちまうんだな。まあ、盗るもんはないけど。 座る事なく部屋を行ったり来たりして一瞬で着替えを済ませ、今日でおさらばする愛車の鍵を手に取り、ヘルメットを掴んで部屋を飛び出した。 所要時間15分。まだまだ縮めそうだ。 鍵は………めんどくせ。 「これがお前とのLastRideだな。」 そういいながらGSX400――インパルスのタンクを叩いた。
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