プロローグ アイツとオレの初めての出会い。

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「ふ~、まったく。コイツの底力は半端ねぇな。」 説明しよう。直列4気筒は低回転ではパワーが物足りなくなるのは大半の読者の皆様はご存知のはずだ。知らない人は覚えとこ~。 だけどな、コイツはスゲェ。低回転とか関係なくアクセル回した瞬間爆発的な加速に見舞われる。いや、比喩じゃなくて。 しかも本当にパワーバンドに入ったら暴力的な加速。体が置いてかれる。 キュキュキュ! ほら、聞いたでしょ。アクセル回した分だけタイヤが強制的にまわるんだ。 「R1000サイコー!!!」 柄にもなくヘルメット内でさけんでしまったが、コイツに乗れると思えば今の叫び聞いた婆さんの冷たい目線や、尻ポケットのベリーベリーホットな缶コーヒーの事も忘れられるぜぇ。 こうして俺は目一杯R1000を堪能しながら、比較的タカ高に近いある人のガレージに向かっていった。 「で、怜奈も連れてきたワケか。」 ここはバイクショップ『ASAMI』。 白い建物には国内4メーカーのロゴや各チューナーのエンブレムの看板がかかり、清楚感を醸し出している。ガレージには様々な工具のボックスやシャシダイなど、メカニックがヨダレもんの整備工具でうめつくされている。いつみてもスゲェな。 建物内部はショーウィンドに飾られた2台の単車で見えにくい。 道路側にまるでカフェテラスみたいにテーブルセットが置かれ、そこに待ち合わせしていた。だが… 「もしかしてお邪魔でした~?」 「そうだよ、亮介。連れてきてもいいじゃない。女の子だよ?女の子。」 いやね、連れてくるなとはいってないし、怜奈なら歓迎だよ? ただ、もうこれじゃ走れねぇ。 怜奈相手してあげないと絞殺か撲殺されちゃうよ。 後、コンパクトカーを片手で動かせる奴を女の子とは言わねぇ。
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