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「いやぁ、今日は俺と麗奈の記念日だからな。早めに切り上げる為にこき使……手伝ってもらったんだよ。」
あ、麗奈ってのは水谷じゃねーからな?奥さんの事だ。
「おい、こき使うて言おうとしただろ。」
うん。そこは俺も思った。
あえて突っ込まなかったけどな。
「いやいや、言ってない言ってない。ところで亮介、R1000はパワーチェックしたか?」
ああ、シャシダイ計測か。まだしてないし、今日は強制的に暇になったから計測してもらおうかな。母さんのR1000のパワーも知りたいし。
「ああ、やってないですね。測ってもらえますか?」
「よし、マフラーは排気管にコネクトしたか?」
「オッケーす。いつでもいいですよ。」
朝見先輩の言葉にうなずく俺。
今、先輩のガレージのシャシダイにR1000を引っ張ってきて固定してる。
後ろでは白木さんと隆太と怜奈がじっとこちらの様子を見つめている。
「システムオールグリーン。じゃあ、始めるか。」
先輩の言葉を合図に俺はアクセルを開ける。
クォーーーン………
2速。
クォーーーーーン………
3速。
徐々にシフトアップしていく。
そのたびに、タコメーターの針が振れる。
「5速………」
エンジンの唸りを腹にシフトを6速にぶち込む。
クオオオォーーーーーーン……
エンジン音が部屋に響き出す。
(…来た!)
先輩の手が上がる。
それを合図に俺は思い切りアクセルをストッパーに当たるまで捻った。
ガアアアアアアアアアァァァァァァァァン!!!!!!
楽に10000回転を越し、エンジンの咆哮が壁を振動させる。
R1000のミラー越しに後ろの様子を見ると怜奈が耳を塞ぎ、目を瞑っている。隆太は何故か子供みたく目をキラキラさせ、白木さんはうるさいのか苦笑いしてる。
おっと、もうレッドゾーンだ。
先輩が開いた手を握る。
それを確認してレブる前にアクセルを戻した。
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