プロローグ アイツとオレの初めての出会い。

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しばらく経って、俺はバイトに行くためヘルメットを手に取る。 「ご馳走様ッス。じゃあバイト行くんでこれにて失礼します。」 「おう、気を付けろよ。」 「亮介くん。明日も来なさいね。R1000で。カレーまだあるから。」 「レイナ先輩、イジる気満々じゃないですか。」 てか、あれ以上どこを改造する気? 「サスやブレーキは純正のままよ?あれじゃスピードと相まってあの世行きだわ。」 あーなるほど。オヤジの言ってた事ってこの事か。確かに足回りは手付かずだ。 てかまた心読みやがったなチクショー! ヘルメットを被り、表に停め直してあったR1000にまたがりキーを差す。と、 「亮介、亮介。」 隆太が真剣な表情を浮かべ駆け足でこちらに寄ってきた。 なんか大事な話なのか?一応サイズの小さいヘルメットを苦労して脱ぐと同時に隆太が横に立った。そして真面目な顔から一転してニッコニコの笑顔にかわり、 「気を付けてね。」 「……………………ああ。」 悪気はないはず。俺のヘルメットは被るにも脱ぐにも苦労する事を知らないはずだよな? せめてなにか真面目な話してくれるならまだしも、これじゃただの耳痛損じゃん。 なんかもやもやする理不尽感を押さえ、怜奈と隆太が手を振って見送ってくれてるのをミラーで確認し、先輩のガレージを後にした。
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