プロローグ アイツとオレの初めての出会い。

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「財布!ケータイ!!ジャージ!ペンケース!マイ箸!MP3!アイマスク!枕!週間少年マガズィン…………」 次々にバッグに必需品(?)を詰め込んでいく。 因みにMP3とアイマスクと枕は居眠り安眠セットだ。 MP3で癒しの音楽をながし(同時にティーチャーの注意を聴覚からシャットアウトし)、アイマスクで目蓋を無視する太陽光や電灯をさえぎり(同時にティーチャーの鬼面を視覚からシャットアウトし)、枕で頭を包み込むような包容感で底知れぬ安眠を約束する(同時にティーチャーのチョークマシンガンを防ぐ盾になる)。 俺が生み出したこのセットはまさに絶対安眠を保証する究極のファンキーグッズなのだ。 「ノート!教科書!参考書!………やっぱこの3ついらねぇや。」 まあ、学校は寝るために行くようなもんだしな。 「後、髪だ髪!時間ねぇからムース付けてこ!」 急いで洗面台の鏡に向かう。 と…… 「………やっぱ寝たまんまだ。」 不思議な事に、俺の髪は何もしてないのに後ろに寝るんだ。しかもかなり癖ッ毛でムース使わないと前髪垂らせない位だ。 オヤジもそうらしいが、だとしたら厄介なもん受け継いでしまった。 「………オヤジどうしてんだろ?」 アメリカに行ったきり全然連絡が取れない。仮に父親だ。人がどんだけ心配してんのか分かってるんだろうか?まったくどこをほっつき歩いてんだか。 一応生活費は通帳に振込まれ続けてるけど。 「おっと、こうしちゃいらんねぇな。」 急いで適度にヘアームースを手に取り、いつものもみだけ伸ばしたオールバックに整える。 いざカバンを背負い、玄関に向かおうとして立ち止まった。 「………間に合わなさそうだし、バイク使うか。」 そういって俺は壁にかけてたヘルメットとキーを手に取り、鍵の壊れた扉を蹴飛ばして朝の日差しが眩しい外に飛び出していった。 あ、鍵掛け忘れた。まぁいっか。
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