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校門までかなりの人数の生徒が自転車を押したり、あるいは同性または異性と楽しそうに話しながら帰っている。
正直不愉快になる。
帰る連中のうち一人が俺に気付く。
「お、おい。アイツ………」
「やべぇ。目を合わせるな。殺られるぞ……」
おい。俺はどこの質の悪いヤクザだ?
一人が気付くとたちまち周りに広がり校門まで人ゴミが開けて道ができてしまった。
正直これも不愉快だ。てかマジでイライラする。
仕方なく堂々と(そこがいかん)モーゼの道の真ん中を歩いてやった。
しかし、もう一人この道の真ん中を堂々と歩いてる奴がいた。
「なんだぁ?アイツは?」
「教えてあげようか?佐々木君」
不意に後ろから掛けられた声にすぐに振り返る。
「なんだてめぇは……」
「僕は佐藤隆太。君は佐々木龍一くんでしょ?」
ニコニコ表情の佐藤は俺よりも背が低く顔が童顔。まるで後輩みたいな雰囲気を纏っている。女みてぇ。
「なんで俺の名前を知っている?」
「生徒名簿でね。」
なーるほどな。
「彼を知りたいんでしょ?」
今は校門に寄りかかって誰か待ってるふうに腕をくんでいるオールバックのノッポを指差した。
「彼は銀崎亮介。僕と同じ走り屋さ。」
「走り屋だと……?」
俺の返答を聞くと、佐藤とか言う奴は前髪で隠れてる右目の逆の左目でウィンクしてその銀崎の元に走っていった。
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