プロローグ アイツとオレの初めての出会い。

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「それに今のお前の状態を見るかぎり、立つのも一苦労もんじゃないか?」 「なんだとっ………!!」 ガクン! 膝が抜けた勢いで立とうとした体勢のまま尻餅ついちまった。 「無理はいわねぇ。どうしてもサシで勝負したいならちゃんと回復してからだ。保健室行っとけ。頭から血が出てるぞ。」 「くっ………。」 頭を押さえたら確かに鮮血が滴っていた。蹴られた際に誰かの靴が擦ったのかもしれなかった。 「じゃあな。」 銀崎がそう言って俺に背を向けてあるきだした。 「ま、待て!!」 ピタッと止まる奴の足。 一瞬なぜ自分がアイツを呼び止めたのかわからなかったが、思い浮かぶままに言葉を捻り出す。 「どうやってあの……ヤンキー集団を散らしやがった?後お前の名前が知りたい。」 「お前もヤンキーだろうが」と薄ら笑いながら振り向く奴。 「なぁに。ちょっと姑息ながらも効果的な方法つかっただけだ。実際俺は2・3人しか伸してない。」 まさか……たった一人であの大群を追い払えるとは。 目を丸くして奴を観察する。 オールバックながらもみあげは真っ直ぐ伸ばしたストレートヘアー。足が少し長めで立っているだけで様になる。 くそう。カッコいいじゃねぇか。 そして奴がニヤリと笑いながら、 「後、俺の名前は銀崎亮介な。」 そういって銀崎はスタスタとこの場を後にした。 まだ立てない俺はアイツのカリスマ性に内心ドキドキしてた。 いつ以来だろうか。人を見て緊張したのは。 これが俺、佐々木龍一とアイツ、銀崎亮介との出会いだった。        序章 END
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