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このままあてもなしに探索しててもきりがないので仕方なしに屋上への階段へ向かう。
「こーんな時に階段から足音が聞こえてきたりして!はははは…」
……カツン……カツン……
ん?何の音だろうな、これ。
「噂をすればお出ましってか。はははは……」
カツンカツンカツンカツンカツン……
いやいやいやいや。有り得ねぇ。どの位有り得ねぇかと言うと昔つるんでた悪ガキ大西の告った時のセリフくらい有り得ねぇ。
あの時彼はよっぽどテンパってたんだろう。屋上に当時彼が好きだった村上さんを呼び出したので気になって屋上の物陰に隠れていた俺の耳にこんなやりとりが飛び込んできた。
『どうしたの?大西くん』
『あ、あのな……実は好きだったんだ。』
『え…………』
『お前……のその胸(パチーーーーン!!!)
彼のそのデリカシーを全く以て無視したセリフよりも村上さんの反応の早さに目を見張るものがあったが、まぁ今はそんな事はどうでもいい。
要は有り得ねぇ事が現実に起こっていることとこの状況がシャレにならん事だ。
しかも段々に大きくなる足音。テンポから階段を駆け上がってきてるようだ。
(お、落ち着け俺!絶対人だ!人に決まってる。)
だがそう思っていても確かめる勇気がでない訳で。
カツンカツンカツンカツンカツンカツン!!!!
うわぁぁぁぁ!!こうなったらやけくそだぁぁ!!
我を忘れて下る階段に向かってダッシュしてしまった。
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