第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡ バァァン!! 前を歩いていた銀崎が勢いよく扉を蹴り開いた。 おい、それ学校の備品だぞ。壊したらどうすんだ。 そんな俺の心境も構い無しに堂々と屋上に出ていく銀崎。 俺も続いたが屋上に出たとたん、見知らぬ二人の男子が近づいてきた。 「おぉ、亮介!!」 「やっときたか、めんどくせぇ。」 一方は背が高いノッポでガタイもいい茶髪だ。短めの髪がなんとなく剣道部員みたいな雰囲気を醸し出してる。顔は一見、真面目そうな印象を受けた。 もう一方は、一目見ればガンくれてるようにも見える凶悪そうな目付きでダルそうな表情をした奴だ。格好は完全にヤンキーみたいだが、ヤル気なさそうな顔が相殺してしまってる。 二人は俺の方を見ると険しい顔色を浮かべお互いを見合せた。多分俺がいる事が意外だったんだろ。 その二人に銀崎が俺に聞き取れないような小さな声で会話した後、俺の方に向き合う。 「まぁ、立会人できちまったが。別にいいよな?」 誰がいようと邪魔さえしなければいいんだよ。 「ああ、構わねぇ。さっさと始めようぜ。」 おっとその前に。 俺は頭に巻いていた包帯を取った。血は止まったみたいだった。そのまま包帯を脇に投げ捨て、ポケットからあるものを取出し、頭に巻いた。よし、これで気合いは十分だ。 銀崎もいよいよ本気なのか、耳にしていたイヤホンを取りポケットに突っ込むとカバンをおろし、同じく脇に投げた。 お互いに向き合う。銀崎はこちらを見つめるように視線を送る。 もう、後には引けない。この決着が付いた時、俺は今後どうすればいいのか、考えていた。 だが今はコイツを倒す事しか考えていなかった。
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