第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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しかし……… バキィ!! 俺が放った会心打は『上に』弾かれてしまった。 「何もガード範囲は腕だけじゃねーんだぜ?」 余りの出来事に一瞬頭が真っ白になる。 こいつ……俺の会心の正拳突きを蹴り上げて弾きやがった。なんつー足の柔さだよ! 銀崎はそのまま振り上げた足を降ろす勢いで踵落としを繰り出してきた。 間合い的に回避不能と判断した俺は咄嗟に腕をクロスさせて受け止めた。 ゴッ!! 鈍く響いた打撃音が俺の耳の中で弾ける。 なんだこりゃ……衝撃が半端ねぇ……なんつー脚力だ。 銀崎は薄ら笑いながら体制を崩した俺に更に二段蹴りを放ってきた。 それを間一髪で避け切り、間合いをとる。 こりゃ一筋縄じゃいかねぇ。覚悟してはいたがここまで強いとはな。 しかし、この後銀崎はとんでもない事を言い出した。 「もう……お前の癖は見切った。こんな無意味な事は早く終わらせたい。そろそろ降参してくれないか?でないと………本気を出さなきゃならなくなる。」 「な……なんだとぉ……?」 今まで本気じゃなかったとでも言う気か?ふざけんな。 「ざけんなよ……てめぇ俺をなめてやがったのか?」 「違うね。俺の蹴りは致死性がある。迂闊に使えば半殺しじゃすまないからだ。」 そんなこたぁありえねぇ。 馬は蹴り殺せても人は蹴り殺せることは天地ひっくり返ってもありえねぇんだよ。 「誰がそんな話信じるか!これでも食らいやがれぇぇぇ!!!」 全身を奮いたたせ、渾身の一発を銀崎に向けて放った。 「………全く、これだから馬鹿は……」 これが最後に聞いた銀崎の言葉だった。
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