第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡ ドッ!!! 俺たちの目の前で佐々木が宙に舞った。 俺と、隣で見ていた西本が唖然とした。 とはいえ、俺はもともと亮介のケンカの強さは知ってはいたから、どっちかというと未だに衰えてない脚力に驚いていた。 バンッ!!! ドシャッ!!! 勢い良く背中から建物のコンクリート壁にぶつかった佐々木は「がっ……」と呻き声をあげ、そのまま気を失ったようだ。 「おい……亮介はあんなに蹴り技が強かったのか?」 西本が俺に尋ねてくる。めんどくせぇが説明してやらねば。 「あいつはな………」 「朝見先輩から直接ケンカの仕方を教わったんだよ。」 げ…………いきなり横から割って語り掛けてきたのは隆太だった。 「隆太………いつからだ?」 「佐々木くんがコンクリートに穴開けた所から。」 既に遅かったか……… 「亮介は生まれ付きなのか足が異様に早くてね、多分普通の人が足は腕の3倍位の力なんだろうけど亮介は確実に10倍はあるね。ま、素手でコンクリートにヒビ入れる佐々木くんの腕力も相当もんだね。」 淡々とニコニコ顔で説明していく隆太。正直、俺は亮介の股間の心配でそれどころじゃなかった。 まずいぞー亮介。ケンカしないっつー約束破ったら金的ックだったはずだよな。 「取り敢えず約束守れない愚か者には制裁だね。」 あーあ、隆太ニコニコ顔のまま亮介の元へ歩き始めちゃった。 御愁傷様、銀崎とその息子。俺と西本は二人して合掌してしまった。
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