第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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迂闊だった。 『体ごと』向き直ったのが間違いだった。 何より今の隆太は何をするか分からないんだった。 これが顔だけ隆太に向き合っていればあんなことには……… 「おお!隆………」 本当に選択Aを実行しようとした俺自信の肝の太さにも我ながら驚いたが、何より驚愕したのは……… 「約束守れない人にはきつ~いお仕置き~!」 隆太の凄まじいスピードの乗った足が一直線に俺の、その、大事な息子に飛んできた事で。 ガスッ!!! 「うぼあああぁぁぁぁぁ!!!」 俺の、その、大事な息子から上がってきた悲鳴が俺の神経を焼き切る。てか何?隆太は俺の息子になんか恨みでもあんのか? 痛みは恐らく人生中ベスト5に入る位の鈍痛でのたうち回るどころかそんな気力もなく徐々に意識が薄れてきた。 ああ、親父。コイツと親友になったがためにアンタに孫を見せれないのが残念だよ……… 「約束守らないからそんなに苦しむ羽目になるんだよ?わかった?」 最後に見た奴の顔は天使みたいな笑顔の悪魔だった。比喩じゃなくて。 ああ、景色がロールアウトしていく…… 取り敢えず薄れていく最後の光景に最後の力を振り絞り、叫んだ。 「高山ぁぁ!西本ぉぉ!てめぇら合掌してんじゃねぇぇぇぇ!!!」 ‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡ 「逝ったな……」 「ああ、逝っちまったな……」 俺と西本はその亮介のある意味最期の姿を見届けた。 アイツは立派だった。理不尽にめげない大した根性の持ち主だった。 逝く寸前の、「高山ぁぁ!!西本ぉぉ!!てめぇら合掌してんじゃねぇぇぇぇ!!」は流石にビビったぜ。 そのまま気絶しちまったがアイツは最期まで抵抗した。男の一生の命題である『究極の急所』に最期まで抵抗した。勲章もんだよ。 と、そんな感傷にひたってた俺たちの元へ隆太が駆け寄ってきた。
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