第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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「私は誰にも負けない精神を鍛えるために勉学でも一番になろうと努力してきたが、キミたちみたいな一見勉強と関係ないような者達に負けるとはな……」 もしかして逆恨みですかアネゴ。 「断じてちがう。ただ、意外だっただけだ。後アネゴってなんだ?」 ちっ……読心術まで会得してやがる。めんどくさい厄介なやつだぜ。 しかし、これでわかった事は隆太の上はこの女史ではないと言う事だ 「だけどよ、部長……」 「京子でいいと遥か昔に言ったはずだ、大河。みんなも気やすくそう呼んでもらってもかまわない。」 「京子、お前この間のテストは急性胃腸炎でボロボロだったじゃないか。それ以外は大抵トップだろうが。別に一回位成績落ちたからって嘆いたり引きずるような性格じゃないだろ。」 西本の的を射たような言葉の羅列に鏡は苦笑いして答える。 「確かにな。今更過ぎ去った事は悔やんでもしょうがない。1位ではないってことは『彼』が1位だろうからな。それが唯一の安心点だ。どっちにしろ次のテストで挽回してやるからな。覚悟しておいてくれ、佐藤君。」 「隆太でいいよ。こっちの目付きワル男は高山ね。下の名前呼んだらキレるから。」「お前なりに気を使ったんだろうが目付きワル男ってなんだコノヤロー!」 どいつもこいつも人のコンプレックス弄り倒しやがってえぇ!! 隆太と取っ組み合ってるとかが……京子はこちらを見ながらクスクスと笑い、 「ふふふ………キミたちはなかなか愉快だな。さっきも言った通り、早く帰りなさい。」 凛々しい声と共に踵を返し、文字どおりさっさと扉へ戻り始めた。 「ちょっとまちなよ会長さん。」 そこへオレの鉄拳食らいながら制止を求める隆太の声。 どうした? せっかく嵐が過ぎ去ろうとしたのによ。 「さっき君は言ったよね。『その程度は私も常習犯だ』って」 「………ああ、確かにそういった。」 隆太はいきなり何を言いだすんだ?
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