第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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「なら京子もバイクに乗ってるんじゃない?」 確かに、バイクのってるからそんなことが常習するんだよな。 「ああ、確かに乗ってるさ。GSX750Sだ。」 「カタナか………」 西本が呟く。 GSX750S。つまりナナハンカタナ。 しっかし刀さげてるからってバイクも刀かよ。 「高山、黙ってくれないか?私も好きで乗ってるだけだ。」 読心術あなどるべからず。 「まぁ、私も色々峠を巡ってるからいつか会えるかもしれないな。」 そういって京子はその場を去った。 俺たちはその姿を見えなくなるまで見送った。 で、死体2つはどうするよ。 「あの2人はどうするんだ?まさか置いてきぼりにはできないだろ。」 暫く考えて隆太は口を開く。 「じゃ、2人とも先輩の店まで引っ張っていこう。」 「2人って……佐々木もか?なんでまた……」 また銀崎とめんどくせぇ事になったらどうすんだよ。 「取り敢えずだよ、取り敢えず。佐々木君って聞いたところ暴走族らしいけど、なんだかなぁ、雰囲気が暴走族らしくないんだよなぁ。」 いや、確かに目はぱっちりしてて威厳より愛嬌あるような顔立ちしてるけど。 「走りの世界に引きずりこんであげたいんだよ。なんとなくね。」 にかっと笑い、笑顔で話す隆太。全く、反則だぞその笑顔は。めんどくせぇな。 「だが、どうやって2人を運びだすつもりだ?」 あ、ホントだ。西本の言うとおりだ。どうやってこの死体2つを運搬するつもりだ? 「それについてはね………」 「みんなーーどうしましたかーーー!!?」 丁度元気よくこちらへ走ってくる怜奈。久しぶりに見た感じがする。多分探索に飽きたんだろ。 て、まさか……… 「彼女に『引きずって』来てもらおうかと。」 引きずるのかよ! 俺の目には向こうへ到着した際に、死体2つの惨状が思いうかんでしまった。
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