第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

30/129
前へ
/252ページ
次へ
ズリズリズリ……… 今、俺たちは朝見先輩のガレージに向かってる訳だが…… ズリズリズリズリ……… 「ん~?高さんどうしましたか~?私の顔に何かついてます~?」 「い、いや……」 相変わらず見事なスイカップ………じゃなくてよ、よくそんなニコニコ顔で大の男2人も引きずって歩けるな……。 端からみれば何の不自由もなく育ったような世間知らず風のお嬢様が見るからに凶悪な男を両手で引きずりまわしてるように見えるから物凄くビビるだろうな、一般人から見たら。 ズリズリズリズリズリズリ…… 足から引きずられてる2人。多分背中は凄まじい傷だらけだろうな。しかも時々当たる石や小石や大きめの石や尖った石……… 亮介、今夜の風呂はすっげーしみるぞ~(背中が) 「あっ、見えてきた!もうすぐだよ!」 テンション高く隆太が騒ぐ。 分かってるっつーの。めんどくせぇ。 「ん?おい、表で麗奈先輩と話してる奴さぁ……」 「ああ…………。」 見えてきた先輩のガレージ。その店先で麗奈先輩が笑顔で誰かに話している。 その相手が…… 「うちの制服じゃね?」 「ああ、確かに。」 後ろ姿しか確認できねぇが、明らかにうちのチャックラン。まだ夏服でもいい時期なのによ……。 「パッと見、地味な髪型だしそっち系(暴走族系)じゃなさそうだね。」 ああ、隆太の言うとおり、あくまで希望的観測だけどヤンちゃんではなさそうだ。 オレの格好には突っ込むなよ。 「とにかく、様子を見ながら行ってみよう。」 西本の言う通りにする事にした。
/252ページ

最初のコメントを投稿しよう!

288人が本棚に入れています
本棚に追加