第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

31/129
前へ
/252ページ
次へ
ソロソロ…… ズルズル…… 物陰に隠れながら少しずつ2人の会話が聞こえる範囲まで足を伸ばしていく。 てか死体引きずる音が耳障りなんだけど…… 「むっ?何か聞こえて来た……みんな、止まって止まって。」 隆太の言う通り、ある程度近くまで来たら2人の声が響いて来る。 麗奈先輩の声は比較的大きいのでここからでも聞き取れるが、制服の方は根本的に声が小さく途切れ途切れにしか聞こえない。 「はい、じゃ全額受けとったわ。おめでとう。あのマシンは今日からあなたのモノよ。」 「……はい……ありがと………れで、父さ……る。」 「いつもはどこを拠点に走ってるの?峠族?首都高族?」 「……僕は…………レット族で………最近は………り坂に……」  「あら、そうなの。私の弟子達もね~、その峠を縄張りにしてるのよ~。」 「……そうな………会えるかも………ね。」 「そーねー、一癖二癖ある奴らだから今の君みたいに覇気がないとあっと言う間に彼らのペースにはまっちゃうぞ?バイク乗りなんだからもっと元気よくしなくちゃね~。」 「……はぁ、スミマ……………」 「それで今日は乗って帰るのかな?それともこの間注文してた部品引っ付けて明日あたり渡そうか?」 「……じゃあ………ってくだ……」 「了解!毎度あり~ってね!」 スッゴク一方的な会話しか聞こえてこなかったが、ま、分かったのはそこの制服男が先輩の店で何か大きい買い物したって事ぐらいか。 と、その制服男がちらりと辺りを伺う用に見回した。その時に顔が見えた。 美形じゃねーかよ……。 髪染めればそれなり、いや、かなりモテそうな顔立ちしてやがる。 その場にいた全員が見たんだろうが、西本が何やら考え事をし始めた。 「おい、どうしたロダン?」 「座って足組み手組みながら頭支えるほどそこまで深く考えてないから。あの顔どっかで見たことあるような……」 むむむ、西本の脳内メモリースティックに期待高まる。
/252ページ

最初のコメントを投稿しよう!

288人が本棚に入れています
本棚に追加