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「ところでさ………」
先輩が俺たちの後方に視線を投げやる。
「怜ちゃんが両手に引きずってる死体2つは何なのかな?」
あー、まだ生きてるのに勝手に殺された……。
そんなにこの2人死に真似が上手いのか?
たかが白目向いてる(一方は泡吹いてる)だけなのによ。
「………一応説明しますとこちらでバカっぽそうな面で伸びてる鉢巻男が佐々木君とやらで…――」
「そっちの泡吹いて股間押さえてる方が亮介くんでしょ?一体どうしたらそんな状態になるのかしら?」
西本の説明に相づち打つように納得した先輩。呆れ顔だ。
「佐々木君とやらの扱いは分からないけど、亮介くんならスパナで一叩きすれば蘇るから。」
亮介は一体どこのリサイクルゾンビ?
こうなったらとことん亮介が哀れだ。
どこぞから等身大スパナを持ち出してきた麗奈先輩は怜奈に言って亮介を地面に転がした。
ちゃくちゃくと進んでいく死刑執行準備を、俺と西本はハラハラ、隆太と怜奈はワクワク気分で眺めていた。
「せーの!」
等身大スパナを振りかぶった先輩。
と、亮介が目を覚ました。
今一つ、自分の置かれている状況が把握出来ず辺りをキョロキョロしてたが迫りくるスパナを見た時、瞬時に亮介自身にせまってる危険を悟った。
「ちょちょちょ!!目ぇ覚めましたから!!スパナはいいッスから!!止め『ゴメン、亮介くん。これ止まんないや。』ギィヤァァァァァァァァァ!!!!」
一部始終を見てた俺たちは本日二回目のガッショー。
「へぇ、誰だろうな、そいつ。」
頭に出来た大きいたんこぶをさすりながら亮介が考え込む。
因みに等身大スパナは木製だった。でなきゃ死んでるよな、普通。
ま、亮介は心臓に鉄杭打たないと死なないはずだから普通じゃないだろうけど。
「おい、人を吸血鬼扱いするなコノヤロー。」
こいつ、いつの間にマインドリーディングテクノロジーを……
「立ち話しもあれだし、そこの気絶したままのお客さんもいっしょに中に入ろうか?」
麗奈先輩の勧めで俺たちは佐々木を引きずってガレージ内のテーブルに向かった。
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