第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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「そんで、どーするんだ?このライオンハート&ヘアー。」 テーブルの近くにあったカジュアルソファーに偉そうにふんぞり返りながら亮介が佐々木を指差す。 一応ここまでの経緯は一通り話したが、亮介は一緒につれてきてしまったライオ(以下略)についてはさほど気にしてはいなかったようだ。 「起きるまで待つつもりか?下手すりゃ今日中には意識戻らねぇかもよ?」 亮介の言う事も一利ある。 だけどそんな考えをもぶっ飛ばすのが佐藤隆太クオリティ。 「いいじゃないの。どうせみんな今日はバイト休みなんでしょ!」 ……この日空けとけっていった張本人に言われてもな………。 だが隆太はこんな事態をも予想の範囲内だというのか。 「みんなは今日はバイクじゃないの?」 麗奈先輩イジる気満々です。モンキーレンチ片手に目がキラキラ…。 今日は……その……ガソリン代の都合で電車で来たからさ。 「あ、そういや俺、遅刻しそうだったからR1000で来たッス。」 亮介が思い出した様に言った。 遅刻なんて気にしないがな、俺は。 「あーそうそう、昨日亮介くんのR1000のパワーグラフ見せてなかったから。今すぐ持っておいで?」 「あいあいさー。」 気だるそうな返事を返し、スタスタと店を出ていった。 残ったのはニコニコしながらジュースを飲む隆太とそれにいちゃつくように寄り添う怜奈とそわそわしたようにオフ車を眺める西本。 あとやっぱりそわそわしながら今度はドライバーを握る麗奈先輩と俺。 最後に眠ったように死んで……死んだように眠ってる佐々木。 ん……? 「麗奈先輩。朝見先輩と白木先輩はどうしたんスか?」 ふと足りない人たちを思い出した俺は麗奈先輩に問うてみる。 「ああ、旦那は今レースよ。今度は鈴鹿にね。シラキンは多分ヤマハに部品調達しにいってる、かな?」 ああ、そうか。朝見先輩国内A級ライセンスの持ち主だったな。 白木先輩は部品調達……くくく、今度来たらTZRのパーツくすねるか。
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