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改めてその場にいた全員が俺の座るテーブルに集まった。
そのメンツの中で佐藤がこちらへやってきた。
「目が覚めたみたいだね。気分はどうかな?」
「最悪だ…………」
何で俺がここにいるのか、経緯を話される。
「まぁ、斯く斯く然々ってな訳さ。」
「つまり、俺は佐藤――」
「隆太でいいよ。隆太で。」
「………隆太の気まぐれでこんなとこに連れて来られた、と」
「ま、話を要約すればそうなるな。」
先ほど西本と紹介されたノッポが相槌を打つ。
「ふざけんな。勝手な事しやがって。俺は帰らせてもらうぜ。」
そう言って俺が立ち上がろうとすると、
「待ちなさい。」
さっき腹抱えて笑ってたお姉さんが俺の前にドン、と何かを置いた。
「……カレー?」
「あくまで予想だけどさ、貴方、朝からなーんも食べてないでしょ。」
な、何で分かったんだ?
確かに、姉貴は帰りが遅くて電車通学の俺が家を出る時には家に居ないから朝飯食ってない。
机の上に置いてある昼飯代は学校行くときにはまだ寝てる愛の財布の中にこっそり入れてるから昼飯も食ってない。
「何で……」
「ふふふ。コイツ等の世話してきた私には子供の腹の減り具合なんて一発で見切れるわよ。」
………佐藤によればこの人の名は朝見麗奈というらしい。
皆麗奈先輩と呼んでるらしいが、麗奈先輩。恐るべし。
「ほら、冷めないうちに食べなさい。亮介くん、ちょっとこっちきて。」
「うい。てか今更だけど亮介でいいッスから」
そんなやりとりをしながら麗奈先輩は銀崎と奥の扉へ消えていった。
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