第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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不思議な人だ…… 「ささ、冷めない内に冷めない内に!」 隆太が急かす。 言われなくても食ってやるわ!腹とてつもなく減ってるし。 おもむろにスプーンに一口分取り、口に運ぶ。 パクッ うまいよ………カレーなんて久し振りだし、空腹という最高の調味料が手伝って底なしにうめぇ。 「だけど………」 無性にモヤモヤする。 あぁ、そうだ。こんなうめぇもん愛に食わせてやりてぇ。姉貴にも。持ち帰りてぇんだけどな。 だけどそんなこと言えるわけがない。 そんなとき、 フオオオォォォォン!!!! 内臓に響くような重い、しかし軽やかに吹け上がるエンジン音が響いてきた。 4気筒……? 俺のXJRと同じか? だけど音の重みが違う。 「亮介か。R1000どうするんだろうな?」 「多分な、足回りを徹底的に固めるつもりらしいぜ? オレには到底めんどくてこりごりだけどな。」 西本と高山て名前のガン付け男がそんなやりとりしている。 「亮介のR1000を見に行こうよ! 凄く気になるしさ!」 隆太がそう切り出し、皆して立ち上がり扉へ向かっていってしまった。 俺は…………まぁ仕方ない。見に行ってみるか。 そういう事で、残ったカレーを掻っ込み急いで連中の後を追った。 フォォォン!! フオオォォォン!! ガレージらしき所に入り、凄いモノを目の当たりにした。 あちこちに大量の工具が掛けてあり、綺麗に整頓されていた上でその数から圧倒的な存在感を醸し出している。 完璧な工具箱………オレのチームの総長さえこんな高そうなもんは総長のガレージには置いてない。 しかも最新型のリフト……バイクだけ対応してるワケではないみたいだ。 機械にうとい俺でもわかるくらい、この広いガレージは驚きで目を眩ませてしまう。 「あらあら、皆してそんなに亮介のカスタム気になる?」 中央に固定された……レーサーみたいなバイクの前輪をいじっていた麗奈先輩がこちらを笑顔で迎える。
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