第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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「何してんですか?」 西本が不思議そうな表情で尋ねる。 それを麗奈先輩は顔をこっちに向けず、作業を続けながら説明する。 「んーとね、昨日話したんだけど亮介のマシンは極端なのよ。スピード命ていうか、スーパースポーツなのに直線番長的な? だから足回りを徹底的に固めてあげるの。」 「なるほど、高山の言う通りだったか。」 西本が納得したように頷いた。 「ただね、エンジンはこれでもか、ていうくらい手が入れてあるわ。ヨシムラのカムシャフトにワイセコのピストン、マフラーはアクラボビッチときたもんだわ。」 一応俺はヨシムラやモリワキみたいな改造パーツのメーカーは知ってたが、まさか走り屋まで御用達だったとはね。 そのレーサーっぽい単車にまたがってアクセルひねっていた銀崎がこちらを見つけた。 「よう、皆して俺の勇姿を見に………」 「んや、ちがうよ~!そんな吐き気がするような勇姿は見たくないし」 あーあ、銀崎タンクの上で泣いちゃったよ。 「さっきからやかましかったエンジン音はコイツですか?」 「あ、興味ある?あるよね~?青春好奇心第一だもんね。」 一旦イジるのをやめ、こちらを向くとすぐさま説明しだした麗奈先輩とやら。
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