第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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「これはねー、スズキのGSX-R1000。スカイライン分かるかしら? あれに1500馬力のエンジン載せた位の加速力があるのよ。」 「は!?」 車については総長の自慢話聞いてある程度は知識はある。 だけどこんなにも桁違いの馬力があるのか………。 「化け物だ……。」 「そーねぇ、でもそんな化け物を意のままに操ってみたいとは思わないかしら?」 ………意のままに操る………。 銀崎たちはそんな面白そうな事してたのか。 そりゃ楽しそうな顔してるワケだ。 「貴方も、こっちに来てみたら? なんなら白木っちのほったらかしにしてる奴を一台あげるわ。」 やべぇ、断然見てみたくなってきた。走り屋の世界を。 俺はあいつらが向こうで談笑してるのをはっきり確認し、声を窄めて言った。 「まだ決心つかないんで、この話は保留でお願いしたいんだけど……」 それを聞いた先輩はニシシと笑い、 「ん~OK! 慎重なのもいい事よ。決心ついたら……」 急に真剣な顔つきになり、 「こっそり、私のガレージにおいで?」 取り敢えず、俺はもうあんなくすぶった毎日と決別する決心をつけるためにも一度帰ろうと思う。 「お世話になりました。もう帰ります。」 「はーい、気を付けてね~。」 「………すいません、カレー持ち帰りできませんか?」 「ウフフ、面白い子ね。」 我ながら、中々勇気出せたと思った。
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