第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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カンカンカン!! 先輩が握っていたレンチで銅板を叩く。 「ほらほら、 お客さんのお帰りよ! 亮介、貴方だけバイクなんだから家まで送ってあげなさい。」 「ええ~!?」 銀崎が嫌そうな表情を見せる。悪かったな、オレで。 「文句言わないの! 誰がブレーキの点検タダでやってあげたと思ってんのよ。」 「しょうがない……表でとけ、ボケ佐々木。」 「ああ、わかったよクソ銀崎。」 いっちいち癪に触る奴だぜ畜生。 だが、電車代もったいねぇし、ここは利用させて貰うか。 「りょーすけー、今日はどうすんの? 明日休みだし峠こない?」 隆太は……ローリング系か。 走り屋の世界も色々あるんだな。 「いや、今日は早じまいして明日の早朝に霞ヶ関ICに行くわ。」 霞ヶ関IC………?。ルーレット(首都高)族か。なるほど、1500馬力スカイラインなのも頷けるがな。 隆太がブーブー文句いい散らかしていたが、銀崎はそれを華麗にスルーし、淡々と準備していく。 「ほらよ、ヘルメ。ノーヘル野郎後ろに乗せて一緒に御用なんざ洒落にならんからな。」 「あぁ!?誰にモノ言ってんだコラ!!?」 つくづく失礼極まりねぇなコノヤロー!! 本気でキレそうになる前になんとか押さえ、ヘルメを被るある意味偉いオレ。 キュルルッ バルバルバル……… さっきまで吠えていたと思えない位静かに始動したエンジン。 やっぱこういう所にバイク好きの性が出ちまうのかな? 興奮してきた。 「さっさと乗れ。じゃ、先輩世話になりました。」 「はいは~い、気を付けてね~。」 キュキュキュ! バオオオオオォォォォン!!! 「おいいぃぃぃ!!? まだちゃんと股がりきってないっ……!?」 「ちゃんと捕まってないと振り落としちまうぞー。」 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 ………ある意味、究極のデスライドが始まってしまった……。
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