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そんなこんなで究極の羞恥を感じながらもホームルームを終えて、それと同時に燈也は駆け出した。
「あ…あ!?逃げられたわ!追うわよ、恋!」
「はい!」
燈也は走る。
見覚えのある双子も無視して
腰に日本刀を差した女性も無視して
かつての仇も無視して
屋上まで走った。
だらだらと汗が流れる。
決して運動したからではない。その証拠に体は冷え切っている。
「も~燈也くん早いよ~」
「はぁはぁ…息を切らさないだけ充分だと思いますよ…」
燈也は二人に向き直り、笑顔で、あくまで笑顔で問いかけた。
「答えて…くれますよね?」
「くふふ、燈也くん可愛かったぁ…真っ赤になっちゃって…」
「できることならあまり人には見せたくないですよね?燈也さんは私たちので…」
ぱちん、と指をならした。
同時にぼうんと煙が二つあがる。そこからちっこいわんこと少女が姿を現した。
「吹雪、ドアを凍らせて?煉鎖は二人を好きにしていいよ」
「ちょっ!?わかった!喋るから待って!」
しかし、煉鎖は止まらない。
怪しく指をワキワキと動かして迫ってゆく。そんな煉鎖を燈也が押さえ込んだ。
「えぇ!?お預けですか!?呼び出しておいてあんまりですよ!お父様」
お父様、とは言っても普通の娘ではない。煉鎖は燈也の魔力が意志を持ったものだ。
「いいからいいから。ほらたまに子供の姿で出てきたんだからさ膝枕してあげるよ」
「わ~い!うふふふふ!羨ましいですかお母様!?うふふふふ!」
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