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眠りから覚めたら...
さぁ、目を覚ましなさい。
僕のドール…。
ご主人様のお帰りですよ…?
「お帰りなさいませ、骸様…」
「…フフ。やっと我が家に帰って来れましたね」
骸様は魔王の魔法によって、50年間、変わらぬ姿で眠り続けていた。
そして私も、城や骸様と共に50年の眠りから目を覚ます。
灰色だった、草花や装飾品が鮮やかな色へと変わり。
石と化していた、兵士や召し使い達も、骸様が触れると何事もなかったかのように動き出す。
「長い間待たせてしまったね。さぁ、こちらへ来て下さい。僕のドールであり、僕のプリンセス…」
「はい…」
50年前、私は骸様の召し使いでありながら、主である骸様に恋をしていた。
骸様の性欲を満たすため、召し使いからドールとなり。
そして…、二人は恋に堕ちた…。
永久の伴侶となるはず…だった。
いきなり、魔王が現れ…50年……。
やっと、骸様と一緒になれる……。
「愛してます。僕のプリンセス…」
「私も…、愛してます…」
骸様の細く長い指が私の顎を掴み。
二人の視線が絡み合う。
そしてそのまま…
唇が重なる…。
「んっ…、ふぁ…」
唇が離れる刹那、銀色の糸が二人の間を伝う。
急に恥ずかしくなり、頬を染め、俯いてしまう…。
「照れてしまって、可愛いですね」
私の体は優しく骸様に抱き竦められ、そのまま静かに時が流れ行くのを待つ。
……骸様………。
…貴方を、永遠に愛し続けます……。
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