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ブドウという名の贈り物...
いつも彼は、突然現れては、すぐに消えてしまう。
そんな彼に恋をしてしまった。
とても、ミステリアスで知的で…。
ちゃんとお話してみたいな…?
そして彼はまた私の前に突然現れた。
「あ、あの…。はじめまして…」
「おや、貴女はいつものお嬢さん。はじめまして」
彼はニッコリと私に笑顔を向けて、私にある物を差し出した。
「お近付きの証しに…、受けとって下さい」
「…?ブドウ?」
「ずっと貴女に渡したかった」
ずっと…、そう聞いた私の頬はピンク色に染まる。
「ずっと…、好きでした…」
好き。その言葉がとっても嬉しくて。
でも、彼は気付いたらもういない。
いるのは…。
「あ、ランボくん。いつからそこに?」
「ランボさん、知らないもんね-。それよりいつものアレちょうだい!!!」
「そっか…。ハイ、あめっこ」
「ワーイ!!ランボさん、ブドウのあめをくれるお前が大好きだぞ!!大きくなったら付き合ってやってもいいぞー」
「ふふ…。ありがと」
そっと、ランボの頭を撫でた。
その日から、なかなか彼と巡り逢えなくて、10年…。
「こんにちは、愛しのお嬢さん。約束通り、お迎えに来ましたよ」
そして、10年たった、今。
気付いたんだ…。
彼はランボくんだと…。
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