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「そー怒んなや!」
そう言って、無言で睨んできた男を見て頭をかき、手に持っていた矛が光に包まれ弾けるように消えていた。
「…遊ぶのは、辞めろ」
異形を倒した男が血を滴らせていた手を振り払った。と同時に瞬きをした次の瞬間には、金の瞳は、消え失せ黒い瞳へと変わっていた。
「あぁーん?誰に物を言ってんのや!」
男へと掴みかかろうと歩みよって来た。そこへタイミングよく携帯が鳴り、乱暴に電話のボタンを押した。
『終わったのか?』
若い男の声だ。どことなく冷たい印象を受けさせるようだった。
「あー。今な」
電話の奥から鼻で笑うのが聞えた。
『また悪い癖をだしたんじゃないだろうな』
その台詞にビクッと電話に出た男が体をこわ張らせた。
その反応を見た金の瞳だった者が鼻で笑い背を向けた。
「な、何言っとんねん。そんな事あらへん!」
『…その割りには、時間がかかったようだが?』
「も、もうええやろ?早く結界解いたってーな」
慌てながら話題を変えた。
『…わかった』
そう言って、電話を切った瞬間に無音だった世界から周りの色々な音が聞えだした。
そして、二人の男が月を背に歩き出した。
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