エピソード1

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「もしもし」 「実夏(ミナツ)久しぶり。俺の事覚えてる?」 私の携帯の向こうから聞こえた声は二年前、遠距離恋愛となった私の彼氏、義彦(ヨシヒコ)だった。理由は、彼の転勤。ついでに言うと私の上京もそれに重なった そんな訳で、私と義彦は離れ離れになってしまった。それでもお互いに好きでいるのだから我ながら凄いと思う そんな義彦が有給休暇をとって東京へ来るのだという 私は本当に嬉しかった 二年ぶりに義彦に会える。どんな服を着ていよう。どんなふうにもてなそう。考えるだけでドキドキした そして、電話をもらってから2日後、義彦が私の家に―といってもマンションだが―に来た 結局いつもどうりのジーンズと白いTシャツにした。部屋も片付けた 「久しぶり。変わってないね」 「義彦も元気そう。とにかく上がって。疲れたでしょ?」 「うん。じゃあお邪魔するよ」 そう言った彼の口を人差し指でふさいだ 「ただいま、じゃないの?」 彼は少し驚いた顔をした後、すぐに笑った 「ごめんごめん。じゃああらためて ただいま、実夏」 「お帰り、義彦」 それから彼を家に上げ昼食を作った。彼が初めて美味しいと言ってくれた料理、カレーだった 「久しぶりだな、実夏のカレー食べるの」 「どうぞ」 「いただきます」 彼は相変わらず食べるのが速い。10分少々で食べきってしまった。久しぶりなんだからもっと味わってくれてもいいのに、と思ったが口には出さない。その代わりに 「義彦はいつまでもいられるの?」 「3日後にはまた仕事が始まるんだ」 「じゃあ、そんなにゆっくり出来ないね」 「そう、だな」
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