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「もしもし」
「実夏(ミナツ)久しぶり。俺の事覚えてる?」
私の携帯の向こうから聞こえた声は二年前、遠距離恋愛となった私の彼氏、義彦(ヨシヒコ)だった。理由は、彼の転勤。ついでに言うと私の上京もそれに重なった
そんな訳で、私と義彦は離れ離れになってしまった。それでもお互いに好きでいるのだから我ながら凄いと思う
そんな義彦が有給休暇をとって東京へ来るのだという
私は本当に嬉しかった
二年ぶりに義彦に会える。どんな服を着ていよう。どんなふうにもてなそう。考えるだけでドキドキした
そして、電話をもらってから2日後、義彦が私の家に―といってもマンションだが―に来た
結局いつもどうりのジーンズと白いTシャツにした。部屋も片付けた
「久しぶり。変わってないね」
「義彦も元気そう。とにかく上がって。疲れたでしょ?」
「うん。じゃあお邪魔するよ」
そう言った彼の口を人差し指でふさいだ
「ただいま、じゃないの?」
彼は少し驚いた顔をした後、すぐに笑った
「ごめんごめん。じゃああらためて
ただいま、実夏」
「お帰り、義彦」
それから彼を家に上げ昼食を作った。彼が初めて美味しいと言ってくれた料理、カレーだった
「久しぶりだな、実夏のカレー食べるの」
「どうぞ」
「いただきます」
彼は相変わらず食べるのが速い。10分少々で食べきってしまった。久しぶりなんだからもっと味わってくれてもいいのに、と思ったが口には出さない。その代わりに
「義彦はいつまでもいられるの?」
「3日後にはまた仕事が始まるんだ」
「じゃあ、そんなにゆっくり出来ないね」
「そう、だな」
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