エピソード1

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少し寂しかった 3日後にはまた仕事が始まる、と言うことは2日後の夜くらいにはもう帰らなくてはならない 案の定、2日後の夜には仕事の準備をしなければならない、と言われた 時が流れるのをこんなにはやく感じたことはなかった 最後の夜がやって来てしまった しかも、その日は私の誕生日だった 彼が買ってきたワインとケーキで小さなパーティーの様なことをした。楽しかったが、寂しかった そんなとき、彼の持ってきた鞄が倒れ、偶然一枚の紙が出てきた そこには堅苦しい字でこう書かれていた 『辞令 東京本社への異動を命ずる』 えっ...何これ... 見ている文字を何度も見返した。 何度見ても同じ 東京への異動命令の辞令 そこへ、トイレから彼が戻ってきた 「あ、見ちゃったか」 頬をかきながら照れくさそうに笑った 「ねぇ、これ、本当なの?」 「うん、誕生日に見せようと思ってたんだけど、見られちゃったか でも、本当のプレゼントはこっち」 そう言って、彼は自分の鞄の中から小さな箱を取り出した その箱の中には、7月の、私の、誕生石のルビーの指輪が入っていた 「これって...」 「実夏、結婚しよう」 ずっと待っていた一言、本当に嬉しかった一言、たった一言だけど私は本当に嬉しかった 「ど~しよっかな~」 いたずらっぽく言った でも、すぐにバレちゃうな。私の顔を見られたら だって今私、嬉しすぎて泣いてるから それに気付いたのかな?彼は私を抱きしめてくれた その一ヶ月後、私達は結婚式をした 私はその時誓った この人に一生を捧げようと どちらかが動けなくなるまで一緒にいようと 義彦は私の誓い気付いてくれるかな まぁ、気付かなくてもいいや だって、きっと義彦も同じ事考えてると思うから 結婚式が終わって披露宴の時、私はそっと、誰にも、ううん、たった一人に聞こえる声でささやいた 「義彦、大好きだよ」
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