エピソード3

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3日後、私はいつもどうり、あの丘にいた 「やっぱりここにいたか」 後ろから聞こえたこえに振り向くと 父がいた 「何かよう?」 「言っただろ、3日後必ず話すって」 あぁ、と私は思い出した 「お前、毎日ここに来てるだろ?」 「うん」 「アルエも、お前のお母さんも、同じだったよ。毎日のようにデートして、決まってここを選んでいた」 「理由になってない」 「まぁ聞いてくれ 何だかんだいって俺も、結構楽しんでいたんだがな ある日、アルエがこんな事を言い出したんだ 『私ね、病気なの。お医者さんからは、もう、治らないって』」 「それで、お母さんを見捨てたの!?」 「まだ続きがある 『だから、私の最後のお願い、聞いてくれる? あの子を、フレストアを、守ってあげてね。』 それが、最後だった」 「だったら、だったら!私の側にずっといてよ!私を守ってって頼まれてるなら私の側にいてよ!何でお母さんの最後のお願いも聞いてあげられなかったの!?私はお父さんのそういうところが嫌いなのよ!」 私は泣き崩れた。辺りは暗くなっていた 「フレストア、俺は最後の願いを聞かなかった訳じゃない」 「何言ってんのよ。最後までお母さんと一緒にいたのは、私だけなんだよ」 父は首を振った 「ここに咲いてる花の名前を知っているか?お前の頭の髪飾りのその花だ」 私は首を横に振った 「ここに咲いてる花の名前は、俺とアルエが付けたんだ」 「え、お母さんとお父さんが?」 「あぁ」 「何て言うの?」 「この花は、満月の夜、一瞬だけ輝く特殊な花なんだ そろそろだ、見逃すなよ」 花を見つめた。瞬間 「わぁ」 花が青い光に変わり、夜空に星のように輝いた 「質問に答えてなかったな この花の名前は、二人とも思った事が同じだったんだ」 「だから、何て言うの?」 父は、ふっと笑って 「フレストア」 と、答えた 「えっ?私と同じ名前なの?」 「あぁ 俺の仕事は、このフレストアを守ること これなら、納得してくれるか?」 私はうつむいたまま 「まだ許してはあげられない。でも、お母さんがお父さんを好きになった理由なら解った気がする」 「今はそれだけで十分だ」 そんな話をして、私はお父さんと帰った。手をつないで 私はお母さんが大好きだ 私はお父さんも好きになった
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