プロの最後

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「俺の師匠が殺られた時の話だ、古いレンガのアパートに俺達二人は住んでいたんだ。俺はまだ十一歳で見習いだった。師匠に頼まれ牛乳を近所の店に買いに行かされていたんだ。天気のいい昼下がりだったな。アパートの前をしばらく歩いていると、プロとすれ違った。なぜそいつがプロと分かったかといえば、そいつは一瞬すれ違っただけで背筋が凍るような、一流のオーラが出ていたからだ。恐怖を感じ、一瞬で縮み上がったね。牛乳を買って帰る間中、師匠にそいつの容姿を話して何て奴か聞きたくて仕方がなかった。そして、いざ帰ると師匠の額のど真ん中に、ポッカリと弾丸が貫通した穴が開いていたんだ。あとで養成学校の先生に聞いた話しだが、俺がすれ違ったのも、師匠の額に穴を開けたのも、ニニータって男だ」 「凄え話だな。生でニニータを見て生きてるプロなんてブレッドしかいないぜ?」 「まだあの頃はプロじゃ無かったしな」  ブレッド照れくさそうに微笑んだ。 「俺は孤児院でスカウトされて養成学校に入っただけだからなあ。卒業と同時にブレッドとやってるし、これといった過去はねえな」  スノーボールが言った。
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