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真っ白な密室に二人と、爆弾、それを見つめるカメラしか無い。
「絶望の白だな。まったくの白だ」
髭をさすりながらブレッドが言った。
「ああ。しかし、天国で配線にチャレンジしとけば良かったって後悔するだろうな」
時計はもう三十分を切って無情に進んでいる。正に時間と二人の人生を切り刻むようだ。
「お返しにこんなのどうだ?なんで俺がスノーボールってコードネームか?」
「冷徹な弾丸を正確に撃ち込むからだろ?」
「それは後付けだ。あまり覚えて無いんだが孤児院に入る前の、唯一の父親の思い出があって、夏祭りに行った事があったんだ。その時、屋台でかき氷を食べた。白い氷に空のように真っ青なブルーハワイの蜜がかかっててね。当時は何でも横文字にすりゃかっこいいって時代だったし、俺もまんまと、かき氷をスノーボールって言うのを気に入っちゃってね。あの味は今でも忘れられねえな」
「なるほど、親父との思い出かあ。じゃあ俺のブレッドは何故か分かるか?」
プロが自分の事をそう易々と語るものではない。それが相棒だとしてもだ。二人は死を覚悟していたのだろう。
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