プロの最後

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「ブレッドは本名じゃないのか?確かに俺と同じ東洋人に見えるな、二世とかだと思ってたぜ」  スノーボールはブレッドをジーッと見詰めた。しかし、何の変哲もないブレッドの顔に、ヒントなどは無かった。 「まったくわからねえや」 「本当は血を表すブラッドにしたかったんだ。けど、俺はバカで学が無い。登録の時に綴りを間違えちまったのさ。けど響きはいいだろ?」  ブレッドは厳つい顔に似合わず、照れくさそうに笑った。 「はははっ、笑えるな!けど響きが良いのが救いだな」 「パンだ……」  ブレッドがにやけながら言った。 「ああ、パンだな……」  スノーボールもブレッドも、ニヤニヤと笑い続けた。そして口を開けば 「パンだ……」  と、言い合った。  もう直ぐ死ぬと思われる二人には見えない。カメラの前の見えない敵に対するせめてもの反撃のようにも見える。    ブレッドが口を開いた。 「こんな商売だ。天寿を全う出来るなんざ思っちゃいない。俺達は殺されるだろう」  スノーボールは真面目な顔になりブレッドを見詰めた。 「今日かも知れないし、生き残ってまた今度かもしれない。どうせ死ぬなら自分達で選びたくないか?なあスノーボール?」
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