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そんな幸せな生活は、
桜散る5月を過ぎ、
向日葵が咲く8月を越え、
そしてすすきが揺れる10月になっても続いていた。
半年あまり電話を続けていても、
やっぱり私の知らないジョウシマリョウタの生活は明らかになってはいなかった。
何度も聞こうとした。
でもできなかった。
私が発した一言がきっかけで、こんな幸せな時間が音を出して崩れていくのが
いつでも私の頭の中をよぎっていたから。
私ももう若くない。
昔なら勢いに任せて傷つくことも恐れず向き合えた恋も、
今となっては傷つく勇気なんてない。
今の私には、この小さな幸せが壊れないように、ただ守ることしかできない。
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