彼と彼女の第2章

とまどい

“おやすみ”を言って電話を切ったあと、

私はひたすら考えた。

先生と会ってもよいのだろうか？

会いたい気持ちはたくさんあるけど、会ってしまうと、私の気持ちが今よりももっともっと大きくなってしまうんじゃないかって怖かった。

ううん、

違う…

気持ちが大きくなることが怖いんじゃない。

大きくなった気持ちがいろんな事を求めて、ﾀﾞﾒになった時が怖いんだ。

たくさん思えば思うほど傷が深くなることが怖いんだ…。

私は知っている。

浅い傷なら友達や仕事の忙しさが忘れさせてくれる。

だけど、深い傷は心の奥底にいつまでも傷として残ることを。

どうしたらいいんだろう…。

私は今深い闇の中をさ迷っていた。