たぶんかなり普通の休日

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木の上から飛びかかるふたつの白刃をヒラリと避け、白刃を持つものを横薙ぎに斬りつける。 しかし、相手もさる者。 拙者の刀は空を斬り、代わりに腹に鈍い衝撃が走る。 「ぐふっ!」 相手の足が拙者の腹に突き刺さる。 拙者はその足を、左手で捕まえ力の限り投げ飛ばした。 「おわっ、ちょっ…!」 相手の飛んだ先には大木がある。 当然狙って投げたのだから、ぶつかってしかるべきだ。 しかし、相手は空中でうまく方向転換し、その大木を踏み台にこちらに勢いよく、飛んでくる。 「ふん、真っ直ぐ向かってくる獲物を斬れぬ拙者だと思うてか!レニアス!」 拙者は刀を鞘に入れ、半身になりいつでも迎えうてる体勢を整えた。 俗にいう、居合いの構えというやつだ。 「ファントムイリュージョン!」 レニアスがそう叫ぶと、レニアスの体は真っ直ぐこちらに向かって来ながら左右にブレだし、三人に別れた。 「!仕方あるまい、真空一文字!」 拙者はレニアスがまだ間合いに入る前に、刀を居合い抜きする。 鞘の中を走り、勢いよく飛び出した刀の軌跡をなぞるように生まれた風の刃がレニアスに飛びかかる。 レニアスは咄嗟にふたつの白刃を頭の前に交差し、風の刃を受け止めるが、勢いが殺され、地面に転がり落ちた。 「うぅ…、ナハトの馬鹿やろぉ…。ちょっとぐらい手加減してくれてもいいだろぉ!」 レニアスは涙声になりながら言う。 黄色を基調とした不思議な装束を身に纏い、キリッとした眉と瞳が意思の強さを物語るかのような、そんな青年が目の前にドカッと座り込む。   「はっはっは、手加減したら修行にならんであろう。」 拙者はレニアスの手をとり起き上がるように促した。 レニアスは膨れっ面をしながらも拙者の手をとり、起き上がった。
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