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「ちぇっ…、ナハトのばぁか。」
レニアスはそう言うと、ぷいっとそっぽを向き、背負っていたリュックの中から、チョコバーを取りだし頬張る。
「レニアスはチョコレートが好きよのう。」
拙者は笑いながら、レニアスがチョコレートを美味しそうに食べているところを眺める。
「むぅ…、欲しがってもやらないぞ、ナハト。」
別に欲しがってはいない。
「そういえばナハト!新しい技出来たんだって?見せてよ!」
どこでその話を聞いたのか、新技が完成したのはつい先日のことのはずなのに。
「……、まぁ、よいか。お前にだけ特別だぞ。」
拙者は鞘に刀を納め、目の前の大木に向かい居合いの構えをとる。
「どんな技なんだろ…、ドキドキ、ワクワク。」
……キィ……ン…。
「これだ。…どうだ?見えたか?」
レニアスはポカーンと口を開けている。
「…え?今何かしたの?」
レニアスは何が起きたのかわからず、不思議そうな顔で拙者を見つめる。
ピシッ…。
カラン…カラカラン…。
木の破片が地面に落ちていく。
ガラガラガラガラ…!
さっきまでそこにあった大木は大きな切り株に姿を変えた。
「えぇっ?!なになに!何したの、今?!」
レニアスは目を丸くして聞いてきた。
「はっはっは、新技だよ。」
拙者は高笑いをしながら街への帰路についた。
レニアスと一緒に。
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