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そう思って外に出た俺は、未だに何も考えず歩いた。もちろん、したいことは山ほどあるのに…不思議だ、その気になれないんだから。
いつの間にか、たどり着いてしまった公園。付き合ってた彼女に一目惚れしてしまった場所であり、この自称天使の彼女と出逢った場所である。足が自然とここに向かったのは、やっぱりこの世に色々と未練があるんだろうなぁ。
「あ、そういえば…アンタ、名前は?名前くらい、あるんじゃねぇの?」
「ん?ないわよ、そんなの。」
「ないわよって…。じゃあ、俺は何て呼べばいいんだよ?」
「別にいいのに…じゃあ、ローズ。いい?私、バラが好きだから」
クスクスと楽しむように笑む彼女の笑顔に、俺は呆れて苦笑してしまう。
「じゃあ、ローズ。俺が死ぬのって確実?」
「ふふ、そうね。私が送った人の中に運命に逃れられた人はいないわ。」
「…お前って、つくづく寂しい奴だな。」
「それはありがとう。仕方ないのよ、運命は。」
時々見せる哀しい瞳。それを見る度に、俺は魅せられて言葉を失う。
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