不吉な出逢い方

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赤く染まっている月…月明かりも心なしか少し、赤黒くなった色。やけに気持ち悪かった。 とてつもないことが起こる予兆だと聞いたことがある。大地震でも起こるのかと考えるが、今の俺はそれでもいいかと思った。 彼女には浮気されたあげく振られて、慰めてくれてた友達には八つ当たりしてしまって罰が悪そうな関係になったし…親とだって、今後の将来についてゴタゴタとなって…。何もかもが落ち目だったんだ。今なら、この命捨てても構わない。そう思った… それから、よく見るとヒラヒラと舞い降るものが見えた。凝視して見つめた先には、雪のように白い何かが落ちてくる。蝶だろうか?こんな夜中にも関わらず、頑張ってるなぁと変に解釈しながらボーっと見ていると… ん?…違うッ?!アレは…ッ! 真っ白な蝶は一変、真っ黒な羽をした天使に変わった。 ソレは俺の元に降りてくるなり、羽を一度大きくバサッと羽音を立て羽を休ませると、俺を下から上まで見るとニヤッと口の端を吊り上げた後、人のいい笑みを浮かべて、俺を見つめて、こう言った。 『アンタ、運が悪いわね… まあ、いいわ。これから楽しませてちょうだいね?お・に・い・さん♪』 唇に温もりを感じるとチュッという小さなリップ音に、何が起きたかと分かった時には、自分でも分かるくらいに顔が耳まで赤くなっていた。 彼女がいても、まだキスすらまだだったから…これが俺のファーストキスとなった。 俺の初心な反応にクスッと妖艶に笑みを浮かべた彼女は、俺の唇に指を這わせてから、 『アンタは、一週間後に死ぬわよ?』 ソイツは俺に、世にも不吉な事を言い出したのでした。
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