死神からの手紙

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死神からの手紙

俺が昨夜に見たものは、幻か現実か…次に目が覚めた時には、夕べの彼女は消えていた。 辺りはすでに暁の空が俺を迎えていた。 昨夜の出来事は、夢だったんだと言い聞かせて俺は家へ帰ることにする。 家族とは、一切会わずに家へと入った。まあ、母親は俺の帰宅に気づいたようで「ドコに行ってたの!」と怒鳴られたけれども、俺も20歳。大学もちゃんと通ってんだ。子供じゃない… されど何も返さず、俺は自室へとこもった。カーテンを開けて窓を開けると先ほどの風とは、少し違った生暖かい風が俺を撫でていく。 「んー、気持ち…ん?何だ、アレ…」 不思議と見つめた先には、まだ辺りが薄暗いせいで黒い何かがこちらへ舞い落ちてくる。 それは中に入ってくると、俺の手にスッポリと入ってくる。 (まんま黒いのな…まあ、いいっか。どれ、どれ…) 二つ折りにされている手紙を見た。中には美しい黒い羽と、ただ一言。 「アナタは一週間後に死にます。お迎えが行くまで、存分に今の生を楽しんでください」 ……この言葉…あれだ。あの女の台詞だ!思い出した頃には、その手紙は灰となってサラサラと風に流されていった。 手元に残ったのは、一枚の黒羽… 世にも不吉な手紙。 予告されたんだ、死を。死を知らせる手紙…それが何故、俺に届くんだ?何もない。こんなに元気なのに… 「だから言ったじゃない?運が、悪いわねって」 「ああ、そうだn…って、何でお前がっ…?!」 「私に会った人間は皆、死んじゃうの。出来損ないの天使、だから…」 心なしか少し切なそうな笑みが窺えるのは、気のせいだろうか?まあ、深入りはしない。人と深く関わるとろくなことがない。
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