3人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
死神からの手紙
俺が昨夜に見たものは、幻か現実か…次に目が覚めた時には、夕べの彼女は消えていた。
辺りはすでに暁の空が俺を迎えていた。
昨夜の出来事は、夢だったんだと言い聞かせて俺は家へ帰ることにする。
家族とは、一切会わずに家へと入った。まあ、母親は俺の帰宅に気づいたようで「ドコに行ってたの!」と怒鳴られたけれども、俺も20歳。大学もちゃんと通ってんだ。子供じゃない…
されど何も返さず、俺は自室へとこもった。カーテンを開けて窓を開けると先ほどの風とは、少し違った生暖かい風が俺を撫でていく。
「んー、気持ち…ん?何だ、アレ…」
不思議と見つめた先には、まだ辺りが薄暗いせいで黒い何かがこちらへ舞い落ちてくる。
それは中に入ってくると、俺の手にスッポリと入ってくる。
(まんま黒いのな…まあ、いいっか。どれ、どれ…)
二つ折りにされている手紙を見た。中には美しい黒い羽と、ただ一言。
「アナタは一週間後に死にます。お迎えが行くまで、存分に今の生を楽しんでください」
……この言葉…あれだ。あの女の台詞だ!思い出した頃には、その手紙は灰となってサラサラと風に流されていった。
手元に残ったのは、一枚の黒羽…
世にも不吉な手紙。
予告されたんだ、死を。死を知らせる手紙…それが何故、俺に届くんだ?何もない。こんなに元気なのに…
「だから言ったじゃない?運が、悪いわねって」
「ああ、そうだn…って、何でお前がっ…?!」
「私に会った人間は皆、死んじゃうの。出来損ないの天使、だから…」
心なしか少し切なそうな笑みが窺えるのは、気のせいだろうか?まあ、深入りはしない。人と深く関わるとろくなことがない。
最初のコメントを投稿しよう!