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変なところで感心していると、チェシャ猫がまた口を動かさずに、語りだした。
「ボクはチェシャ猫。アリスを探してる。アリスが居ないと、物語が“終息”しない。“始まり”がないと“終わり”がこない。終わらなければ、また始まれない。永遠に、螺旋を、回っていたのに、アリスがいないから、螺旋が平行に、なった。ただ、平坦に、まっすぐに、暴走する。まっすぐにしか、進めない。“終わり”のない、物語は、物語じゃ、ない。“変化”のない物語は、死んでしまう。だから、ボクは、来た」
……詩?よく意味が分からないのだが…
「簡潔に、要点だけまとめんさい」
私は詩の内容、意味を理解することを放棄した。てか詩って理解しようと思うだけ無駄な気がする。
チェシャ猫は、また首を傾げて考える素振りをすると、今度は短い言葉で簡潔に述べた。
「アリスが居なくなったから、ボクはそれを探しにきた」
OK、簡潔だ。
ようは人捜しに来たわけだ。
「しかし、居なくなったって…」
不思議の国からアリスが居なくなったってことだよね?
……そんなことあるのか?
いや、チェシャ猫がここにいるから、同じようにアリスも本の世界から抜け出して、この世界に来て……あ、あれ?なんか頭の中がゴチャゴチャしてきた!
「えーと、……とにかくチェシャ猫はアリスを捜しに来たのね?」
「うん」
「じゃあ捜そう!捜しに行こう!」
とにかく、分からない事、頭で考えていてもどうしようもないことは頭の隅にうっちゃって、行動することにした私は、クルリと踵を返して、図書室の入り口に戻ろうとした……のだが、
ガックン!
「うわぁぁ!?」
何故か足元をすくわれたとゆうか、床が後ろに引っ張られたとゆうか…そんな感じがして、とにかく私は足だけ後ろに引っ張られて、そうすれば当然前のめりに倒れるわけで…
こ、コケる!
グシャッ
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