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「さて、どうしたものか…」
取り敢えずツルリには適当なことを言って、さっさとその場をあとにした私は、自分の教室に向かってノロノロと歩を進めていた。
「しかし、シショーが出張中とは…」
困った。シショーには昨日の事を聞きたい…もといグチを言いたかったのに、居ないとは。
それが目的で学校に来たようなものなのに、無駄になってしまった。
「どうするかなぁ…」
謎が多すぎてスッキリしない。
中途半端な小説を読んだ気分…
何故図書室にチェシャ猫がいたのか…あの少女は誰か…なにより、閉まっている筈の図書室がなぜ開いていたのか…
それとも…
あれは全て夢だったのか…?
「夢と言ってしまえば、そこで終わりなんだけどねぇ…」
いっそ夢なら楽なのかもしれない……だが…
「あんな目にあって、全て夢です。はい、忘れて下さい。なんて納得いかねぇ…」
あの後も色々大変だったし…うわぁ、思い出したくねぇ!
「あの猫!絶対に見つけ出して、事と次第を聞き出してやる!」
たとえそれで更なる面倒事に巻き込まれることになっても、なにも知らずにこのままは嫌だ!このまま終わるのは…
「…ん?」
私がそこまで考えたところで、教室が見える位置まで来た。
……のだが、
「なんで人だかりが出来てるんだ?」
何故が教室の前の戸にも後ろの戸にも、あげくの果てに窓にまで、生徒がびっしり群がっていた。
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