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ガラガラガラッ
と、あっさり開いた扉の向こう、まず一番最初に目に入ったのは奴だった。
「よう」
「………なんでテメーがいるんだよ…」
いや、確かにさっきの群衆の中には居なかったような気はしたけどね!
しかし、なんで猫を閉じ込める為に閉鎖された教室に普通にいるんだよ!
今はボケ男はどうでもいいんだよ!むしろ私のイライラメーターがさらに上昇するから消えてくれ!
「いやぁ、なんでってここ、俺の教室だし?俺の席だし」
「確かにそうかもしれんがなぁ、今は完全閉鎖状態なんだよ!見ろ!今この教室にはお前しか居ないだろう!他の皆はお外で待機してるってゆうのに!それともあれか?逃げ遅れたのか!このノロマ!」
早口でそこまで捲し立てた私だが、奴は人の話を聞いていないのか、飄々としている。
コノヤロー!テメーへの言葉の為に使った酸素返せ!
「でもなぁ、それを言うならお前だって教室にいるじゃん」
「私はいいんだよ!教室に用があるから!」
正確には教室にいる猫に用があるからだが……と、いけないいけない!こんな時に馬鹿に構ってる場合じゃない!
「おい、ボケ男!……あ、やっぱいいや…」
こいつに聞くのは癪だ。自分で探そう。教室そんなに広くないし。
ボケ男が「なんだよ~」とか拗ねたように言ってるのは無視!
ボケ男だけを視界からも意識からもシャットアウトして、教室をゆっくり見渡す……すると…
「……………」
目的の猫は案外すぐ近くにいた。
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