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その独特の模様を見るだけで憎しみが沸いてくる猫は、私のいる教室の扉からすぐ、教卓の前の席 = 私の席の机の上に、尻尾を宙ぶらりんにしながら乗っかっていた。
猫はまったく私に気が付いていないらしく、ただ尻尾を机からはみ出させて、プラプラさせている。
普段なら「可愛い♪」とか言ってるような光景かもしれないが、残念ながら今の私は心穏やかでない状態。
憎しみしか沸いてこねぇ…
私はズカズカと机に無言で近付いて、相変わらず私に気付かずに、机の上でただ丸まっている猫の尻尾を、問答無用で鷲掴みにして持ち上げる。
………なんかその際、ムカつく拍手が聞こえたような気がしたが、気のせい気のせい。
「……………」
「……………」
突然尻尾を掴まれ、逆さ吊り状態になった猫は、さすがにビックリしたのか、左右色の違う目を真ん丸にしている。
相変わらず、三日月のような口はまったく動かないが。
私はそんな猫を無言で睨み付けた。
猫はその視線にも、変わらずニンマリ顔を崩さず、見開いていた瞳もゆるゆると戻っていく。
そして…
「やぁ、ツクル」
普通に挨拶してきた。
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