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「ふざけんな!あの将来ハゲ!」
怒りまかせにドカッと教卓を蹴っ飛ばす。
ドササッ!
「……………」
蹴っ飛ばした衝撃で、教卓の上に置かれていた本の山が雪崩をおこし、何冊か教卓の下に落下した。
「……てかこれ全部私に運べってか?」
本は十冊程、しかも全て分厚くて重たそうな本ばかり。
明らかにか弱い女子に頼む仕事じゃねぇよ。
てか一人じゃ無理だ!
「おい、図書委員その二!」
私は、同じ図書委員の筈のクラスメイトに大声で呼び掛ける。しかし…
「本間君ならさっき帰ったよ」
一番近くにいた、このクラスの紅一点(と男子共が言ってる。女子はテメーらの半分以上いるぞ)、広松さんがそう教えてくれた。
チクショー!奴も逃げやがったか!
「ご愁傷様だな、本木ー」
「まぁ頑張れよー」
そう捨て台詞を残して、悠々と教室を去って行くクラスメイト達(主に男子)。
お前ら!困ってる女子を助けようって気概はねぇのか!
「頑張りなさいよ、ツクル」
「図書室まですぐじゃん。本の虫にはラクショーでしょ!」
お友達な筈の女子達も、無責任な言葉を掛けて去っていく。
………友情なんてこんなもんさ…
てか本の虫関係ないよ。確かに自他共に認める本好きだけどね私。
重たい本を何冊も持ち運びたいとは思わないよ。どんな労働だよ。
「あの、本木さん」
「広松さん!手伝ってくれるの!」
遠慮がちに近寄ってきた優しさの代名詞(頼まれたら断れない性格)な広松さんの手を思いっきり掴む私。
「え?あ、ごめんなさい。私これからすぐ塾だから、手伝えないの…」
「え…」
思いっきり肩透かし。だったら近寄ってこないで欲しい。ぬか喜びしちゃったよ…
「ご、ごめんね?」
あからさまにガックリしてる私が不憫になったのかいたたまれなくなったのか、二度目の謝罪を口にする広松さん。
「いや、いいよ謝らなくて。広松さんが悪いわけじゃないし………そう、悪いのは…」
か弱い私にこんな大量の本を押し付けていったツルリのせいだー!!畜生ー!奴が本当にハゲたら鼻で嘲笑ってやる!指差して大声で爆笑してやる!みてろよツルリー!!
こうして私は、打倒ツルリを心の中で決意するのであった。
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