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「どりゃぁーーーっ!!」
掛け声一発!ドアの隙間に差し込んだ足の先を華麗に横払いし、ガラガラガラッと、勢いよくドアを開けた。
はい、そこ!行儀悪いとか言わない!仕方ないだろう。両手が本で塞がってんだから!
「シショー!居ないっスかー!」
図書室のドアを開けたが、中には入らず、入り口から大声で呼び掛ける。
因みにシショーとは、正確には“司書”、この図書室の管理をしている人だが、私以上の本の虫で、この図書室にある図書は全て読破しており、さらに公共図書館にある本を僅か一年で読み潰したとゆう伝説を持っている。しかも今まで読んできた本は全て記憶しているらしい。
年齢不明で性別も何故か不明とゆう謎の人物なのだが、伝説的本の虫先輩として、私は尊敬している。
なので私は“師匠”と“司書”でシショーと呼んでいる。
……たいして違いがないように思えてもつっこんではいけない。
しかし、そんな私が敬愛しているシショーは、弟子の呼び掛けに応えてはくれなかった。
「チィ!居ないのか!」
思わず舌打ちして毒づく。
入り口でシショーに本を渡して、さっさと帰ろうと思ったのに。
これで図書室の奥のカウンターまで、本の山を運ばなければならない。かなりのタイムロスだ。
「くそぅ…なんでウチの図書室は入り口近くじゃなくて、奥にカウンター置いてんだよ…」
ブツブツ文句を言いながら、本の山を抱え直し、カウンターを隠すように鎮座している背の高い本棚の壁に沿って、図書室の奥へ奥へと進んで行く。
しばらく歩くとカウンターが見えて来た。
「やっと着いた~」
早足でパタパタとカウンターに近寄り、勢いよく本をカウンターへ置いた。いや、置こうとした。
グニュッ
「……………」
本を置こうと降ろした手に、何故か軟らかくて温かい感触が…
「重いよ…」
しかも声も聞こえましたよ!
「ごごご、ごめんなさい!!」
テンパりながらも重い本をもう一度持ち上げる。
「……………」
「……………」
そしてカウンターの上には…
「……猫?」
らしきモノがいた。
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