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「って、おい。ナギ! 何をしようと――って! オマ……」
ああ……。
四階建ての校舎の屋上から飛び降りられるのか……もうメチャクチャだな。
それから10秒も立たない内に、琴音の声が近くに聞こえてきたから階段の方に目を向けると、ナギが琴音の手を引っ張りながら上ってきていた。
「痛い痛い痛いっ」
「到着! 琴音、結界を張って」
「痛ああい。絶対手首に痣できるよ……もう」
「早く!」
「はいはい。でもうちは、便利屋さんじゃないんだからねえ」
ブツブツ文句を垂れながら、琴音が目を瞑る。
バリアって凄い響きだよな。
「藤! 1人で何分持つ?」
「4分が限界」
藤の武器はなんなのか知らないが、1対3の状況はかなりキツそうだ。
敵は時代劇に出てくるような忍者のような格好をしていて、顔は覆面で覆われている。
多分、1人は片腕がない状態なんだよな? と足元に落ちている腕を見て思った。
「壁壁壁壁壁!」
ああ、バリアじゃなくて壁なのか……。
「ついでに灯り」
四方を石壁で囲まれ、上も壁で塞がれて真っ暗の中、僅かな灯りが琴音の指先に灯る。
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