ナギスペシャル

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「短っ!」 30cmよりやや長い程度だ。 ナギの刀と比べると、玩具に見える。 「出せたね」 「短いけど」 「まだ完璧じゃないから。でも合格! 琴音、今何分?」 「3分と14秒」 短くて頼りないけれど自分がこれを出したと思うと、何だか凄く愛着が湧いてくる。 「よし、出るわよ」 と言ってから、壁に回し蹴りをして穴を空けるナギをただ呆然と見ていた。 「バリアじゃねぇじゃん」 「ナギが特別なの」 ああ、そうか……。 「遅いぞ」 藤が待ちわびた顔をして、ナギに駆け寄る。 とにかく速かった。 琴音が消したのか壁は綺麗になくなり、何も障害物のない屋上が広がった。 東雲(しののめ)か。 微妙な名前だな……。 「藤は左、私は真ん中。タマは右の片方腕がないヤツね」 「わかった」 と、藤は勢い良く敵に向かって行ったが、ちょっと待て。 「ストップ」 「なに?」 「無理だろ、幾ら片腕だからって」 「そんなこと言ってる暇ないの」 「アドバイスは?」 「斬る!」 そんな微妙なアドバイスを残して、ナギも敵の方に向かって行ってしまった。
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