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自然と柄を持つ手に力が入る。
ジリジリジリと、手のひらが鳴いているみたいだ。
相手はなかなか動こうとはせず、かといって俺がそこに飛び込むというのは無謀だ。
相手の刀の刀身は80cm前後か? ダメだ、全くの素人が勝てるハズない。
『ヒント1。相手は右腕がない』
ヒントなんていいから――……。
そうか、右腕がないのか。ビビっていて完全に忘れていた。
しかし武器がこうも短いと、頼りないよな……。
『でもさ、これだけ長いと懐に入られたら終わりじゃないのか?』
そうだ、さっきナギの刀を持って気付いたじゃないか。
アレだけの長躯にあの刀だ。
懐に入った俺を捌くことは難しいだろう。
でもどうやって懐に入る? 正攻法で突っ込んだって、懐に入る前に斬られるだけだ。
『ヒント2。日本刀の大きな特徴は片刃』
かたは?
ああ、片刃か。
「琴音もう1つヒント頼む」
『声に出すなあ。折角直接話しかけてるんだから』
そうなのか? 言われなければ全く気付かないな。
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