嫌なヤツ

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「ありゃ、こりゃまたタイミング悪い所にきちゃったかな」 「おう、藤!」 助かった。ナギだけじゃどうも頼りないし、さっきからどう見てもアウェーだし。 「こら、琴音。逃げない」 「だってえ、面倒臭いんだもん」 藤に襟首を掴まれて足掻く琴音は、素で嫌がっていた。 琴音の気持ちはわからなくもないが、逃げられるのは困る。 「で、風紀委員が何か用?」 「私が違反だって言うのよ」 「……。ナギ。そりゃ違反だわ」 やっぱり違反か、だよな。 確かにさっきから正論をかざしているのは、あっちの方だ。 「さすが藤さんっ」 金髪が叫んだのをゲテモノでも見るかのように、藤の顔がくしゃっと潰れたような表情に変わった。 「ま、今回は見逃してよ。この子馬鹿だからさ」 「いい――ふぐっ」 顔を殴られ後ろに倒れたユウを涼しげな目で見てから、キョウが口を開く。 「ダメです。ナギさんは今までに36回、違反しているのですから」 キョウって野郎は絶対A型だ。 顔面を殴られたユウが苦しんでいる姿を、ゼツが笑って見ている。
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